知悉しりつく)” の例文
ここへ来て見ると、人と牛との生涯がほとんど混り合っているかのようである。この老爺は、牛が塩をめて清水を飲みさえすれば、病もえるということまで知悉しりつくしていた。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しかして神の智慧を知悉しりつくしても神の心が解らずしては、神に関する最も大切なる事は解らない。ヨブと彼の友人とは今日まで神の智慧についておおいに学び、かつ知る所があった。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
今や「平和」なる一孩子がいし、世に出づ。知悉しりつくす、前途茫々、行路峭※せうかくたるを。大喝迷霧をはらふは吾人の願ふ所にあらず、一点の導火となりて世の識者を動かさん事こそ、吾人が切にみづかたのむところなれ。
「平和」発行之辞 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)