睨廻ねめまわ)” の例文
運転手は顔の寸のつまったいっこくらしい男である。彼は警官が柏に説明している間も、猜疑深い調子で、じろじろと私を睨廻ねめまわしていた。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
とそこいらじろじろと睨廻ねめまわして、新地の月に提灯ちょうちんらず、片手懐にしたなりで、亭主が出前、ヤケにがっと戸を開けた。あとを閉めないで、ひょこひょこ出てく。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、とりなしを云った二三人の年増の芸妓げいこ睨廻ねめまわいて
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)