つぶや)” の例文
「どうも、失敗しくじってばかりいる」と、にんじんはつぶやく——「それにやつらのきたねえよだれで、こら、指がべたべたすらあ」
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
まるでに描いた相馬の古御所というやつだ。なるほど不思議がありそうだ。今に見ろ、一番正体を現してやるから。と何やら意味ありげにつぶやきけり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と僕は、もう一度眼ばたきをしてつぶやいた。その人だかりの中には七郎丸の祖父と父親が紋付の羽織を着て控えている。僕の父親も同じような姿で、ひど武張ぶばった顔つきをしている。
吊籠と月光と (新字新仮名) / 牧野信一(著)