真岡もうか)” の例文
旧字:眞岡
宇都宮を間に挟み東は真岡もうかより西は文狭ふばさみ鹿沼かぬま一帯を見て廻った。大体宇都宮を中心として十里の半径を描けば、ほぼその中に分布される。
野州の石屋根 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
宇都宮家は太閤がその娘を差出せといったのを聞かなかった為に闕所にせられて、その子が浪人をし、ずっと南の芳賀郡の真岡もうかという処に逃げのびた。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
いつのまにここへ来たのか、真岡もうかのゆかたの腕まくりをして、豆しぼりの手拭をギュッとわしづかみにした小さなチョビ安が、お美夜ちゃんと石金のすぐうしろの、用水桶のかげに立って
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
村々をおさとしになって、木棉畑をつぶし、お堂やお寺の庭までも、蕎麦や大根をお作らせなさいましたお奉行様もありましたが、下野しもつけの国の真岡もうか近在は、真岡木綿の出るところですから
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
昼間飲んだ酒に肥ったおのが身を持てあましていると見えて、真岡もうか木綿もめん浴衣ゆかたに、細帯をだらしなく締めたまま西瓜すいかをならべたような乳房もあらわに、ところ狭きまで長々と寝そべっている姿が
歌麿懺悔:江戸名人伝 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)