白紗はくしゃ)” の例文
そのまん中に撩乱として白紗はくしゃよりもより膜性の、幾十筋の皺がなよなよともつれつ縺れつゆらめき出た。ゆらめき離れてはまた開く。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
この夜は月えて風清く、野も林も白紗はくしゃにつつまれしようにて、何ともいいがたき良夜りょうやであった。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
高田殿は広き白紗はくしゃの蚊帳の中で、身を悶悩もんのうさせずにはいられなかった。
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
さっ白紗はくしゃの蚊帳に血飛沫ちしぶきが散って、唐紅からくれないの模様を置いた。
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)