瘴癘しょうれい)” の例文
全体として言えば、彼は瘴癘しょうれいの気よりも泡沫ほうまつを愛し、下水よりも急流を愛し、モンフォーコンの湖水よりもナイヤガラ瀑布ばくふを愛した。
辺陬へんすう熱帯瘴癘しょうれいの蛮地であって、これを画測するにも容易ならざる歳月と費用とを要すべく、加うるに多大の危険と戦わねばならず
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
百七十二箇所のトンネルをくぐる滇越てんえつ鉄路の難所も、瘴癘しょうれい無人の魔所も見て来たがつてこんな陰惨な光景に出会ったことはなかった。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
東路あずまじの道の果てなる常陸帯ひたちおびをたぐりつくして、さてこれより北は胡沙こさ吹くところ、瘴癘しょうれいの気あって人をいたましめるが故に来るなかれの標示を見て
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しかし、瘴癘しょうれいの湿地からのがれてほっとしたかと思えば、ここは一草だにない焦熱の野である。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
クリストフは古い書物から立ちのぼる苛辣からつ息吹いぶきに、元気づけられた。シナイの風が、寂寞せきばくたる曠野こうやと力強い海との風が、瘴癘しょうれいの気を吹き払った。クリストフの熱はとれた。
とにかく僕は内地を出ればことごとくが瘴癘しょうれいの地であるという考えをもっていたら間違いだ、といいたいのです、第一僕たちがボルネオに出発するといった時に、体に気をつけなければいかんといって
宇宙爆撃 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)