留木とまりぎ)” の例文
「何か、直ぐに連れてここへ来る手筈てはずじゃった、猿は、留木とまりぎから落ちて縁の下へ半分身体からだ突込つッこんで、斃死くたばっていたげに云う……嘘でないな。」
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
翡翠に飾られた店頭の留木とまりぎには、首を寄せ集めた小鳥のように銀色の支那沓がとまっていた。象牙のくしが煙管や阿片壺と一緒に、軒を並べて溢れていた。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
同じ袋に入ったのが、二ツ、ちょんと、あの、猿の留木とまりぎの下に揃えてあって、——その時、私に打明けて二人して言やはったは、つい一昨日おとといの晩方や。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)