申出もうしだ)” の例文
お客さんというのは溺死者できししゃのことを申しますので、それは漁やなんかに出る者は時〻はそういう訪問者に出会いますから申出もうしだした言葉です。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
外交機密を写取る文久三年癸亥みずのといとしは一番やかましい歳で、日本では攘夷をするとい、又英の軍艦は生麦一件につい大造たいそうな償金を申出もうしだして幕府に迫るとう、外交の難局と云うたらば
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
平気な顔でちょうちゃんはあたいの旦那だんなだよと怒鳴どなった。去年初めて学校からの帰り道を待乳山で待ち合わそうと申出もうしだしたのもお糸であった。宮戸座みやとざ立見たちみへ行こうといったのもお糸が先であった。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
君兪は名家に生れて、気位きぐらいも高く、かつ豪華で交際を好む人であったので、九如は大金をもたらして君兪のために寿じゅを為し、是非ともどうか名高い定鼎を拝見して、生平せいへいの渇望をしたいと申出もうしだした。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)