田舎訛いなかなまり)” の例文
旧字:田舍訛
「あれ、真実ほんとかなし」とお延は田舎訛いなかなまりで言って、床の上に起直った。「私は夢でも見たかと思った」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
優しい言葉でなだめ慰めると同時に、妻のある一色への不満を訴えた。しゃべりだすと油紙に火がついたように、べらべらと止め度もなく田舎訛いなかなまりの能弁が薄いくちびるいてほとばしるのだった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そして、いやしい田舎訛いなかなまりを朋輩にわらわれはしないかと気遣った。
入江のほとり (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
と森彦は田舎訛いなかなまりを交えて、自分の子が自分の自由に成らないに、歎息した。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
こう義雄は田舎訛いなかなまりの混って出て来る調子で岸本に話し聞かせたこともある。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「絹ちゃんは感心に、田舎訛いなかなまりが出ないこと」と豊世は言って見た。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「コドナには困ったねえ」と婆やは田舎訛いなかなまりを出して笑った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)