田楽狭間でんがくはざま)” の例文
駿遠三の大管領、今川義元はどうかというに、田楽狭間でんがくはざまの一戦で織田信長に殺された。これほどのシケはないではないか。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「弥二右衛門、いみじくもいうたり。信長の意中も、それよ。今こそ義元の首に会わん。田楽狭間でんがくはざまは、この道を真東まひがしよな」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今川軍の先鋒は大高城にはいって兵糧を入れつゝあり、義元は主力を田楽狭間でんがくはざまにあつめて、勝ち祝の謡をうなっていた。
織田信長 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
炎天を、騎行きこうして来たので、鎧のかわ小貫こざねけきっていた——大汗にまみれて彼は今、ようやくたどり着いた田楽狭間でんがくはざまの芝山で駒の背から降りた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夕立のあがり頃から、田楽狭間でんがくはざま阿鼻叫喚あびきょうかんも、雷鳴かみなりの行方と一緒に、遠く消えて、その後を、実に何のこともなかったように、せみひぐらしが啼いている。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東野勝って西野に一敗をきっすれば、きのうの田楽狭間でんがくはざまはむしろ笑うべき一朝いっちょう夢花醒散むかせいさんとなってしまう。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)