瓢然ひょうぜん)” の例文
これも三年掛かったと本人が私に話していました。風采は禅坊主見たいな人で、庵室あんしつにでも瓢然ひょうぜんとして坐っていそうな風の人であった。
瓢然ひょうぜんたる一種の道楽息子と成果てつ、家にあっては父母を養うの資力なく、世にたっては父母をあらわすの名声なし、思えば我は実に不幸の子なりき。
父の墓 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
物外に瓢然ひょうぜんとして居ながら心中無限の不平を抱いて居るにちがいない、心に不平があれば新政府のめにいことは考えない、油断のならぬ奴だなんて、種々様々な想像をめぐらして居る者の多いのは
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)