独木舟カヌー)” の例文
旧字:獨木舟
そして水夫が上陸するとき、私の独木舟カヌーに気づきました。持主がどこかにいるにちがいないと、彼等はそこらじゅうを探しまわりました。
家の裏からすぐ海に向って、大きな独木舟カヌーがしまってあり、その周囲に雑然と鍋・釜・トランク・鏡・椰子殻・貝殻などが散らかっている。
ここに、独木舟カヌーに乗って入りこんだ、人間がいると仮定しよう。渦は、毎時周縁のあたりが三十カイリの速さ。そして、ぐるぐる巡りながら最初の島までゆくのに、どう見積っても半日は費る。
「太平洋漏水孔」漂流記 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
一番骨の折れるところは月毛が手伝ってくれて、六週間もすると、インド人の使うような独木舟カヌーが一せき出来上りました。
独木舟カヌーの置いてある室の奥に、一段ゆかを高くした部屋があり、其処そこに家族らがうずくまったり、寝そべったりしているらしい。
Vailimaヴァイリマ 島まで独木舟カヌー旅行を企てたのである。
「太平洋漏水孔」漂流記 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
必ず匍匐膝行ほふくしっこうして過ぎなければならないのである。もし、独木舟カヌーに乗って海に出ている時に長老の舟が近付こうものなら、いやしき男は独木舟カヌーの上から水中に跳び込まねばならぬ。
南島譚:01 幸福 (新字新仮名) / 中島敦(著)
起上って沖を見た時、青鯖さば色の水を切って走る朱の三角帆の鮮やかさが、私の目をハッキリとめさせた。その帆掛独木舟カヌーは、今ちょうど外海から堡礁リーフの裂目にさしかかったところだった。
手槍ピスカン大蛸おおだこを突きそこなって胸や腹に吸い付かれ、身体中れ上ることもある。巨魚タマカイに追われて生命いのちからがら独木舟カヌーに逃げ上ることもある。たらいほどもある車渠貝アキムに足を挟まれ損ったこともある。
南島譚:01 幸福 (新字新仮名) / 中島敦(著)