狐憑きつねつき)” の例文
犬神、蛇を飼うおんなひきがえるを抱いて寝る娘、すっぽんの首を集める坊主、狐憑きつねつき、猿小僧、骨なし、……猫屋敷。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
更に狐憑きつねつきじみたその顔の表情は誰がみても狂人、被害妄想的抑鬱症患者としか思えなかった。
さようなら (新字新仮名) / 田中英光(著)
春も半ばとなつて菜の花もちりかかるころには街道のところどころに木蝋を平準ならして干す畑が蒼白く光り、さうして狐憑きつねつきの女が他愛もなく狂ひ出し、野の隅には粗末な蓆張りの円天井が作られる。
水郷柳河 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
狐憑きつねつきだと言って、狂人を焼き殺したと言うようなことがある、などと。
帰途 (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
狐憑きつねつき、これもなかなか多かったようですが、一種の神経衰弱者だったのでしょう。この時代には「狐憑」もあれば、「狐使い」もありました。狐を使う者は飯綱いいづなの行者だと言い伝えられていました。
江戸の化物 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
敬太郎は狐憑きつねつきのようにのそりと立っていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
色情狂いろきちがいで、おまけに狐憑きつねつきと来ていら。毎日のように、差配のうちの前をうろついて附纏つきまとうんだ。昨日もね、門口の段に腰を掛けている処を、おおきな旦那が襟首を持って引摺ひきずり出した。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
春も半ばとなつて菜の花もちりかゝるころには街道のところどころに木蝋を平準ならして干す畑が蒼白く光り、さうして狐憑きつねつきの女が他愛もなく狂ひ出し、野の隅には粗末な蓆張りの圓天井が造られる。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
狐憑きつねつきが。」
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)