狂水きちがいみず)” の例文
二杯三杯とかさなるにつれて、遠慮も次第になくなるとこへ、狂水きちがいみずのまわるのが、血の燃ゆるがごとき壮佼わかもの、まして渾名あだなを火の玉のほてりに蒸されて、むらむらと固る雲、額のあたりが暗くなった。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
拳ぐらいで騒ぎが静まりゃいんですが、酔が廻ると火の玉め、どうだ一番相撲を取るか、とやせッぽちじゃありますがね、狂水きちがいみず総身そうみへ廻ると、小力が出ますんで、いきなりそのほうきの柄を蹴飛けとばして
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)