犀川さいがわ)” の例文
ただ一軒、犀川さいがわの橋のたもとにあった大きい店で、自分で窯をもって研究しているらしい、親切な製品を並べている所があった。
九谷焼 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
其のおもなるものは、弘治元年七月十九日犀川さいがわ河畔の戦闘と永禄四年九月十日の川中島合戦との二回だけである。
川中島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
丹波島から善光寺までは、もう一里十二町というホンの一息のところまで来て、犀川さいがわの河原。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
すなわちその北方犀川さいがわ筋の地方はおもに破砕した翠増すいぞう岩石から成り立っていて、そしてその南方木曾川の谷は数マイルの間おもに大口火性石の谷側に連なるのを見るし、また
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
桔梗が原の尽頭第一の駅路は洗馬せばである。犀川さいがわの源流の一つである奈良井川は駅の後方に近く流れ、山がやや迫って山駅の趣が先ず目に這入る。駅は坂路ですこぶる荒廃の姿を示している。
木曽御嶽の両面 (新字新仮名) / 吉江喬松(著)
諏訪の盆地は隠れて見えず、鉢伏はちぶせ立科たてしなが後ろからのぞき、伊奈いな筑摩ちくま山巒さんらんが左右に走る。遠くは飛騨境ひだざかいの、槍、穂高、乗鞍等を雲際に望むところ。近くは犀川さいがわと、天竜川とが、分水界をなすところ。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)