物静ものしずか)” の例文
旧字:物靜
ト老僧は奥を指さして極めて物静ものしずかに優しくいってくれた。大噐氏は自然に叩頭おじぎをさせられて、その言葉通りになるよりほかはなかった。洋燈ランプを手にしてオズオズ立上たちあがった。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
近くには何かの木に絡み付いた藤が、紫の花を房のように垂れ、上越の山地であると、谷卯木たにうつぎの紅花が水に映っている。山鳩や郭公かっこう物静ものしずかな鳴声がおちこちに聞えるのもこのあたりである。
渓三題 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
一言亡状いちげんぼうじょうを極めたにも係わらず、英臣はかえって物静ものしずかに聞いた。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お夏の病室も、あやう物静ものしずかである。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)