片眼めつかち)” の例文
表を通る襤褸ぼろを下げた奴が矢張己れが親類まきで毎朝きまつて貰ひに來る跣跋びつこ片眼めつかちの彼の婆あ何かゞ己れの爲の何に當るか知れはしない
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
先頭さきに立つた片眼めつかちの男が、庭の米俵を指しながら、かういふと、あとに続いた人達はわいわいわめはやした。
腕力で侮辱を与へようとしたもんだから、梅子さんも非常に怒つて、松島を片眼めつかちにしたんださうな、其れをうちの先生が何か関係でもあつて、左様さうさせたやうに言ひ触らして
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
私たちは、そのたつた一つの眼が片眼めつかちなのだとは思ひませんでしたし、それから古い修道院の廊下を眼が飛ぶのでもなければ、彼等の身體から拔け出してさまよふのでもないと考へました。
青い眼 (旧字旧仮名) / ギヨーム・アポリネール(著)
母親おふくろ父親おやぢも乞食かも知れない、表を通る襤褸ぼろを下げた奴がやつぱり己れが親類まきで毎朝きまつてもらひに来る跣跋びつこ片眼めつかちのあのばばあ何かが己れの為の何に当るか知れはしない
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)