)” の例文
今は可懐なつかしき顔を見る能はざる失望に加ふるに、この不平にひて、しかも言解く者のあらざれば、彼のいかりは野火の飽くこと知らでくやうなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
さればこれらの分配通信の機関は火の原をくがごとく、水のしもに就くがごとく、かの政治的の境界をば日に侵掠しんりゃくして経済的の領地となさしめたり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
色紙、短冊、扇面、紙本、立どころに、雨となり、雲となり……いや少し慎もう……竹となり、蘭となる。……情流既に枯渇して、今はただ金慾きんよくく髯だからね。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
猛火の毛をくが如く、直に其の福を取り盡し使ひ盡さずんば已まないのである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
この三箇条は、あるいは砲銃を用い、あるいは刀槍を用ゆ、各々その便に従うべし。ここにおいてか彼れ曰く、「勝を制するの易々いいたるもとより毛をくが如し」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)