無闇矢鱈むやみやたら)” の例文
磁石でもあれば出して見ることも出来ますが磁石は既に失くしてただ無闇矢鱈むやみやたらに進んで行くのですから実に危ない訳です。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
従来の土地の風とか慣わし、美俗醇風に重きを置かないで、無闇矢鱈むやみやたらと配給したのでは、ますます物が足りなくなるばかりか、運輸、交通も混乱する。
食べもの (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
元来品夫は僕と違って文学屋で、女の癖に探偵小説だの、宗教関係の書物だのを無闇矢鱈むやみやたらに読みたがるのです。
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
床の側にはお妾のお峰が、たった一人泣き濡れて居り、無闇矢鱈むやみやたらべるらしい線香の煙が、部屋一杯にこめて、いきなり入るとむせ返るような心持になりました。
銭形平次捕物控:245 春宵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「お蝶夫人」をうたうプリマドンナも無闇矢鱈むやみやたらにうたうとホルピの様に咽喉をつぶしてしまいます。
お蝶夫人 (新字新仮名) / 三浦環(著)
ああ無闇矢鱈むやみやたらに料理をこしらえるのか? どうして蔵の中があんなにからになっているのか? どうして女中頭はああ手癖てくせが悪いのか? どうして下男どもはあんなに不潔で
日本料理や惣菜そうざい料理を拵えるにも先ずその食物の性質を調べてから取合せをしなければならん。近頃はよく日本料理と西洋料理とを無闇矢鱈むやみやたら取交とりまぜて合の子の折衷料理が出来る。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
中には無闇矢鱈むやみやたらと国際性という刀を振り廻してりつけてばかりいるのもあった。
厨房日記 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「急所を知らないんで、無闇矢鱈むやみやたらにきったかも知れないな」