無尽講むじんこう)” の例文
抽斎は自家の窮乏を口実として、八百両を先取さきどりすることの出来る無尽講むじんこうを催した。そして親戚故旧を会して金を醵出きょしゅつせしめた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
被害者の懐中物は無尽講むじんこうの帳面が二冊キリ。蟇口がまぐちも煙草いれもない。……という極めてサッパリした現場なんだ。
近眼芸妓と迷宮事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
亭主の五兵衛は、裏の籾蔵もみぐらに入りこんで、いつもは、米をいたり、ぬかふるっているのであるが、今夜は、無尽講むじんこうがあるとかで、くらの二階で、宵から明りをともしていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大工のみにかぎらず、無尽講むじんこうのくじ、寄せ芝居の桟敷さじき下足番げそくばんの木札等、皆この法を用うるもの多し。学者の世界に甲乙丙丁の文字あれども、下足番などには決して通用すべからず。
小学教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)