火酒ウォツカ)” の例文
ぢやあ、ソローハ、火酒ウォツカを一杯御馳走にならうかな。忌々しいてでな、この咽喉のどがこごえてしまつたやうな気がするて。
そこでサカモリがはじまったが、ジンという酒はアブサンや火酒ウォツカにつぐ強い酒だが、アッサリした甘味があって、女の好きそうな香気がある。舌ざわりが悪くないから、つい油断して飲みやすい。
現代忍術伝 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
一同はたちどころにその仔羊の首にバサウリュークの面相を見てとつた。祖父は今にもそいつが火酒ウォツカをねだるのではないかと思つたさうぢや……。
「へん、火酒ウォツカが呑めなくなつてもと言つた方がよからうよ、この酔つぱらひ婆さんがさ!」と織匠はたやの女房が応酬した。
あの猶太女め、扁平麺麭パリャニーツァ一つで火酒ウォツカを一杯づつはよこすからな。誰にも見つからないうちに、早く持つて行かう。
穴倉へ一走ひとつぱしり行つて、猶太の蜜酒を持つて来い! それに火酒ウォツカも飲まないんだ! 変てこな話さ! 主、基督を
すると一人の男が悪魔にでもそそのかされたのか、うしろから叔母のからだへ火酒ウォツカをぶつかけをつたのぢや。
彼は凍火酒ウィモロズキを嗜まず、ただ午餐ひるめし晩餐ばんめしの前に火酒ウォツカを一杯やるだけで、マヅルカも踊らなければ、⦅銀行バンク⦆もやらなかつたので、自然、いつも独りぼつちでゐる他はなかつた。
それと同時に、両の眼がひとりでに細くなつて今にも閉ざされさうになる。それで彼はひつきりなしに、拳しで眼をこすつたり、飲みあましの火酒ウォツカを眼にさしたりしなければならなかつた。
つなぎ輪麺麭ブーブリキと腸詰の用意をして来たので、かうした宿屋で決してきらしたことのない火酒ウォツカを一杯だけ注文すると、たたきの床へ脚をしつかり埋め込んだ樫の食卓に向つてベンチに腰をおろして
火酒ウォツカが運ばれて来る、火酒ウォツカが舌に焼けつく、火酒ウォツカはとても厭だ、誰かそばへ近よつて来て肩を叩く、その男が……しかし、それから先きはまるで眼のまへに霧がかかつたやうで、とんと思ひ出せぬ。