いさ)” の例文
そこの窓をいさぎよく明け放した彼は、東向に直立して、上野の森の上から高く射す太陽の光を全身に浴びながら、十遍ばかり深呼吸をした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一死をいさぎよくしようと思っている連中ばかりなので、到頭不利な戦争をやりとげたものであろう。
大阪夏之陣 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「おいさぎよいことで厶ります。只もう、只もうお潔ぎよいと申すよりほかは厶りませぬ」
老中の眼鏡 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
卓上に掛けた白い布がまたこの明るさを助けるように、いさぎいい光を四方の食卓テーブルから反射していた。敬太郎はこういう都合のいい条件の具備したへやで、男の顔を満足するまで見た。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)