漢口かんこう)” の例文
僕等の通った二階の部屋は中央に据えたテエブルは勿論、椅子いすも、唾壺たんつぼも、衣裳箪笥いしょうだんすも、上海や漢口かんこうの妓館にあるのとほとんど変りは見えなかった。
湖南の扇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
高次郎氏が看守長となった年の秋、漢口かんこうちた。その日夕暮食事をしていると長男が突然外から帰って来て
睡蓮 (新字新仮名) / 横光利一(著)
漢口かんこうの松村領事が居留民を引上させたのは大早計たいさつけいであつたと云ふ批難が上海シヤンハイでは行はれて居る。松村君が自分の夫人だけをとゞめて置くについての岡焼をかやきばかりでは無いらしい。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
燕山楚水えんざんそすい蘇浙小観そせつしょうかん北清ほくしん見聞録、長江ちょうこう十年、観光紀游、征塵録せいじんろく、満洲、巴蜀はしょく湖南こなん漢口かんこう支那風韻記しなふういんき、支那——
奇遇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)