滝口たきぐち)” の例文
キキキ、キキ……と奥の木立からきしみめぐッてくる牛車の輪音わおとに気づくと、門の衛士えじ滝口たきぐち義数よしかずはすぐ衛士小屋の部下を呼ばわって、待ちかまえ
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この明石の源内武者定明という者は、伯耆守ほうきのかみ源長明という者の嫡男で堀川院御在位の時の滝口たきぐちの武者であったが、ここの預り処へ廻されて来たものである。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
このほか平等院、北の院などの強僧も加わり、武士には渡辺わたなべはぶく、播磨の次郎じろうさずくきおう滝口たきぐちなどその勢合せて千五百余人、眉宇に決意を秘めて三井寺を出発したのであった。
滝口たきぐちに灯を呼ぶ声や春の雨
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
供奉の公卿百官から滝口たきぐち(近衛兵)の甲冑かっちゅうまで、洩るるはなき鹵簿ろぼであったが、俊基朝臣だけは、天皇のお還幸かえりを仰いだ後も、あとの残務にとどまるものと見せて、じつは飄然
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
男は頼政長年の家来で、渡辺源三競わたなべのげんぞうきおう滝口たきぐちという侍である。