渋滞じゅうたい)” の例文
旧字:澁滯
彼は、白鳥会の仲間、とりわけ大沢や新賀の、物ごとに渋滞じゅうたいしない、率直な態度を見るにつけ、それがはっきり自覚されて来た。
次郎物語:03 第三部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
スラ/\と心持好くはかどって意外の失敗に達するよりも、渋滞じゅうたいの裡に確実な成功の機会が湧いて来れば、その方が新太郎君も本望だろう。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
或いはもうこれ以上折れないというほど小さく折り畳みて鼻糞大にしてしまうものあり、そのために切符を改める手前大いに事務渋滞じゅうたいを来たすものであり。
発明小僧 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
道義の運行は悲劇に際会して始めて渋滞じゅうたいせざるが故に偉大なのである。道義の実践はこれを人に望む事せつなるにもかかわらず、われのもっともかたしとするところである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
どういうわけか、ストリーの部分に入ろうとすると、筆がしぶってしまう。今回はそこでそうした渋滞じゅうたいを防ぐべく、当時の日記を抜き書きして、それに注を書き加える形で、筋の進展を
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
矢張り相応に頭を使っているのだ。課長連中に至っては上と下に挾って真剣に忙しい。皆それ/″\屈託があるのだから、社長の御高説ばかり拝聴していると事務の渋滞じゅうたいを来す。
社長秘書 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)