深酒ふかざけ)” の例文
虫歯が出来たし、胃が弱くなって、深酒ふかざけをすると、あくる日は一日台なしになってしまう。
生活 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
お蔦 やけの深酒ふかざけは毒と知りながら、ぐいぐいあおって暮すあたしに、一文なしも糸瓜へちまもあるもんか。お前さん大ぐらいだろうから、それじゃ足りない、これもあげるから持ってお行き。
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
三田は縁側の玻璃ガラス戸をしめて、寢床の上に大の字になつた。風に吹かれてゐる間は、すつかり醉もさめた氣でゐたが、横になつて見ると深酒ふかざけの名殘は蒸暑く胸から上に押上げて來た。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
深酒ふかざけ翌朝あくるあさの早起は、自分自身に對しても負嫌まけぎらひで押通す三田のならはしだつた。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)