海酸漿うみほおずき)” の例文
丹波鬼灯たんばほおずき海酸漿うみほおずき手水鉢ちょうずばちわき、大きな百日紅さるすべりの樹の下に風船屋などと、よき所に陣を敷いたが、鳥居外のは、気まぐれに山から出て来た、もの売で。——
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
海酸漿うみほおずきのようにふっくらとしていて、髪の間から見える膚の色がきれいである。目があまりに大きいことだけはそれほど品のよいものでなかった。そのほかには少しの欠点もない。
源氏物語:28 野分 (新字新仮名) / 紫式部(著)
しまっておいたすだれが、また井戸端で洗われるような時節で、すそをまくっておいても、お尻の寒いようなことはなかった。お庄は薄暗くなった溝際みぞぎわにしゃがんで、海酸漿うみほおずきを鳴らしていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)