浅膚せんぷ)” の例文
ほとんど見たままで、別に烹煉ほうれんを加うるということをせずに、無造作にその物その事の見解を作ッてしまうから、おのずから真相を看破あきらめるというには至らずして、ややもすれば浅膚せんぷけんに陥いる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
余が文章の踈雑そざつなりしが為め、或は意気昂揚して筆したりしが為か、かくも誤読せらるゝに至りたるは極めて残念の事と思ふが故に、余は不肖を顧みず、浅膚せんぷを厭はず、是より「評論」紙上に於て
体面を繕うことばかりに汲々たる軽薄浅膚せんぷな生活を続けていた。
湖畔 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)