汚塵をぢん)” の例文
嗚呼人よ、東海君子国の世界に誇負こふする所以ゆゑんの者は、一に鮮血を怒涛に洗ひ、死屍を戦雲原頭にさらして、汚塵をぢん濛々もうもうの中に功を奏する戦術の巧妙によるか。
渋民村より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
今や心狂ひたる軍人の鉄腕にようせられたる、繊細なる梅子の身は、鷹爪ようさうらはれたる雛雀すうじやくとも言はんか、仮令たとひ声を限りに叫べばとて何処いづこより、援助来らん、一点の汚塵をぢんだも留めたるなき一輪の白梅
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)