水屑みくず)” の例文
鏡を木の枝にかけていうことに、鏡は女子の魂ぞ、一念宿りてつらかりし人々に思いをかえさでやと、谷底に躍り入って水屑みくずとなる
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
いまだし。一週間以前の不動祠畔しはん水屑みくずとなるべかりし浪子をおりよくも抱き留めたるはこの人なりけり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
のち気が変になり、帰国の船中太平洋の水屑みくずになられたと聞いて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
十六夜いざよひ日記につき」の女詩人は、河畔に立つて西行さいぎやう法師ほふしの昔をしのび、「光行紀行みつゆききこう」の作者は、川が深く、流れがおそろしく、水がみなぎつて、水屑みくずとなる人の多いのにおびえてゐる。
天竜川 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)