氏素姓うじすじょう)” の例文
「兄の家臣であろうが、姓は何という? 人の氏素姓うじすじょうただしながらわが名も告げないのは、礼儀に欠けているではないか」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとい氏素姓うじすじょうのない者でも、修業次第であっぱれな名僧智識にならぬとも限らぬと、そんな心から承知してわたしを手離すことになったのでした。
くろん坊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
人々は時の天下様である太閤たいこう氏素姓うじすじょうを知りたがった。羽柴はしば筑前守秀吉あたりから後のことは、誰でも知っていたが、その以前の彼を知りたがった。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「平の清盛きよもりが、太政大臣だじょうだいじんとなったのを、古今の異例といわれたそうだが、清盛はまだ平氏の帝系ていけいをひいた者。……氏素姓うじすじょうもない、一匹夫いちひっぷとはちがう」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、氏素姓うじすじょうも定かでない——また、見るからに風采の貧しい彼を、侍屋敷では、どこでも抱えてくれなかった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十人の筆役ふでやく(書記)を使って、毎日、新参の武士どもの氏素姓うじすじょうを名簿に書きあげていた兵事奉行の吉良貞義は
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そちは元より氏素姓うじすじょうもない九条院の雑仕女ぞうしめ、義朝の寵をうけたといっても門外の花だ。しかし抱えておる子たちはまさしく源氏の血流、ましてみなの子。助けておくことはまかりならん
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「てめえのような、氏素姓うじすじょうの知れねえ奴に問われて名乗る名はない」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「世阿弥! てめえはどうしておれの氏素姓うじすじょうを知っているのか」
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
四名の前身、氏素姓うじすじょうは、どんなおとこどもかといえば。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さすが、氏素姓うじすじょうのちがいは争えぬ」
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)