毒蛇コブラ)” の例文
一方ステーンセン伯爵邸を見張っているエッベや毒蛇コブラのラルフたちからも、せっせと注進がくる。これも寄せ集めてみると、こういうことになる。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
わが鼬將軍いたちしやうぐんよ。いたづらにとりなどかまふな。毒蛇コブラ咬倒かみたふしたあとは、ねがはくはねずみれ。はへでは役不足やくぶそくであらうもれない。きみは獸中ぢうちうはやぶさである。……
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
卵色の陽光ひかりが窓から射して、しんと静かな画廊へ来た時、たった一匹だけ毒蛇コブラを描いた小さい額を見付けました。
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あの悪少年ラスカルは恐ろしい毒蛇コブラです。人を欺して血を吸います。あれは魔神デビルが化けたひょうです。どこに居るかわかりません。けれどもどこからか出て来て悪い事をします。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
擦れ違った拍子に、この探偵が毒蛇コブラからでも頼まれたのであろう、唇を動かさずに腹話術みたいな声で、独語ひとりごとを言った。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「オイおとっつぁん!」と宿の主人は、毒蛇コブラのように頬をふくらせ憎々しい声で怒鳴り出した。
死の航海 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
毒蛇コブラの車掌が先に立って車室へはいった。彼女は初めてのあたり、この伯爵夫人と顔を合わせることができた。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)