段鹿子だんかのこ)” の例文
一町ひとまち、中を置いた稲葉家の二階のてすりに、お孝は、段鹿子だんかのこの麻の葉の、膝もしどけなく頬杖して、宵暗よいやみの顔ほの白う、柳涼しく、この火の手をながめていた。……
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「御免なさいまし。」と抱いて出た掻巻の、それもと浅黄の派手な段鹿子だんかのこであったのを、萌黄もえぎと金茶の翁格子おきなごうしの伊達巻で、ぐいとくびった、白い乳房を夢のようにのぞかせながら、トひざまずいてお孝の胸へ。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)