武器庫ぶきぐら)” の例文
銅鑼どらが鳴った。兵士つわものたちの銅鉾どうぼこを叩いて馳せ寄る響が、武器庫ぶきぐらの方へ押し寄せ、更に贄殿にえどのへ向って雪崩なだれて来た。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
鞍馬法師も、叡山えいざん、南都の荒法師にも劣らない聞えがあった。山には武器庫ぶきぐらさえある。一山はみな僧兵といってよい。平常でも薙刀なぎなたをひっさげて歩いた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのとき、突然武器庫ぶきぐらから火が上った。と、同時に森の中からは、一斉にときの声が群衆めがけて押し寄せた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
それらしい位置を、ようやく闇に馴れたそのひとみにつきとめた。すぐ池の向う側に、水に沿って、十数間の壁となっている太柱の建物こそ武器庫ぶきぐららしいのである。窓も一つ見える。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猪のあぶら松脂まつやにとを煮溜めた薬煉くすね弓弦ゆづるを強めるために新らしく武器庫ぶきぐらの前で製せられた。兵士つわものたちは、この常とは変って悠々閑々ゆうゆうかんかんとした戦いの準備を心竊こころひそかわらっていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
武器庫ぶきぐらの獄は何処か」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)