正覚坊しょうがくぼう)” の例文
旧字:正覺坊
海亀——いわゆる正覚坊しょうがくぼうには青と赤の二種がある。青い海亀はもっぱら小笠原島附近で捕獲されるが、日本海方面に棲息するのは赤海亀の種類だ。
海亀 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
正覚坊しょうがくぼう甲羅こうらほどの氷のかけら、どんぶりこ、どんぶりこ、のどかに海上ながれて来ると、老練の船長すかさずさっと進路をかえて、危い、危い、突き当ったら沈没
二十世紀旗手 (新字新仮名) / 太宰治(著)
なんであろうかと近づいてみると、それは、甲羅の大きさが一メートルもある、海がめの正覚坊しょうがくぼうが、のそのそしているのであった。なかには、鼈甲べっこうがめ(タイマイ)もまじっていた。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
正覚坊しょうがくぼうの卵みたいな、三寸玉から五寸玉ぐらいまでの花火の外殻からが、まだ雁皮貼がんぴばりの生乾なまびになって幾つも蔭干しになっているし、にかわを溶いた摺鉢すりばちだの、得体えたいの知れない液体を入れた壺だの
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二本のずんぐりした弓なりに曲ったあしが、でぶでぶのかさばったからだを支えている。そして並はずれて大きなこぶしを先につけた非常に短くて太い腕が、正覚坊しょうがくぼうひれのように脇からぶら下って揺れている。
正覚坊しょうがくぼうに舟を沈められたというような話はかつて聞いたことがないと、土地の故老が言っていた。
海亀 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
背の甲が一メートルぐらいの正覚坊しょうがくぼう(アオウミガメ)が手あたりしだいにとらえられ、おまけにその肉は、牛肉よりもおいしく、また、どの島のちかくでも、二メートル以上のふかが
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
子分のひとりが品川に住んでいるので、喜兵衛はひと先ずそこに預けて彼を養わせることにしたが、かれは正覚坊しょうがくぼうのように大酒を飲んだ。不思議に生魚を好んで食った。
半七捕物帳:32 海坊主 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)