横奪よこどり)” の例文
われもかれさへ亡きものにせば、躯はさのみ要なければ、わが功名てがら横奪よこどりされて、残念なれども争ふて、きずつけられんも無益むやくしと思ひ、そのまま棄てて帰り来ぬ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
「沢庵さま。もう一言ひとことうかがいます。徳川家を仆そうとする者はどうして謀叛人でしょうか。豊臣家を仆して天下を横奪よこどりする者は、なぜ謀叛人ではないでしょうか」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
星光ほしあかりにすかしてこれを見た時、その時自分は全たく夢ではないかと思っただけで、それを自分が届けいでるとか、横奪よこどりすることが破廉恥の極だとか、そういうことを考えることは出来なかった。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)