権能けんのう)” の例文
旧字:權能
しかも打ちながら、自分は人並にこの鐘を撞木でたたくべき権能けんのうがないのを知っていた。それを人並に鳴らして見る猿のごときおのれを深く嫌忌けんきした。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
諸君には中央委員の命令を審議する権能けんのうはないのだ。このことは既にじゅうぶん承知のことと思うが——
鉄の規律 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
し、われらのみの力で、領土に加えたものだ。家康の力をかりて取得した地ではない。——それを何で、とつとして、北条家へ明け渡せと命ずるのか。徳川家に、どうしてそんな権能けんのうがあるのか
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしそれが人生問題であり、道徳問題であり、社会問題である以上は彼ら金持は最初から口を開く権能けんのうのないものと覚悟をして絶対的に学者の前に服従しなければならん。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)