樋竹といだけ)” の例文
御前ごぜんのお目にとまった、うたいのままの山雀は、瓢箪を宿とする。こちとらの雀は、棟割長屋むねわりながやで、樋竹といだけ相借家あいじゃくやだ。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
薄く流れる河の厚さは昨日きのうと同じようにほとんど二三寸しかないが、その真中に鉄の樋竹といだけが、砂にうもれながら首を出しているのに気がついたので、あれは何だいと下女に聞いて見た。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
秋晴あきばれ或日あるひ、裏庭の茅葺かやぶき小屋の風呂のひさしへ、向うへ桜山さくらやまを見せて掛けて置くと、ひる少し前の、いい天気で、しずかな折から、雀が一羽、……ちょうど目白鳥の上の廂合ひあわい樋竹といだけの中へすぽりと入って
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
からりとひさしを鳴らしたのは、樋竹といだけすべる、おちたまりの霰らしい。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)