楼階はしごだん)” の例文
やがて私は技手の後に随いて、狭い楼階はしごだんを昇り、観測台の上へ出た。朝の長野の町の一部がそこから見渡される。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そこは大経師だいきやうじとした看板の出してある家だ。病人の寝床は二階に敷いてあつたから、柿田は物を持運ぶ為に、高い天井に添うて楼階はしごだんを昇つたり降りたりした。
死の床 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
と言いながら、先生は新規に造り足した部屋を高瀬に見せ、更に楼階はしごだんの下の方までも連れて行って見せた。そこは食堂か物置部屋にでもしようというところだ。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
半死の内儀かみさんはブル/\震へながら畳の上を這つて行つて、楼階はしごだんのところから階下したのぞいて見た。
死の床 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この教員室の空気の中で、広岡先生は由緒いわれのありそうな古い彫のある銀煙管ぎんぎせるの音をポンポン響かせた。高瀬は癖のように肩をゆすって、甘そうに煙草をくゆらして、楼階はしごだんを降りては生徒を教えに行った。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)