桑港シスコ)” の例文
「どっかへフッ飛んじゃったい。船長おやじ晩香坡バンクーバからさけかにを積んで桑港シスコから布哇ハワイへ廻わって帰るんだってニコニコしてるぜ」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
船は無事に桑港シスコに着いた。小橋氏はからつぽの大きな旅鞄をげながら上陸した。
退院すると直ぐに警察に呼び出されて、ほんの型ばかりの訊問を通訳附きで受けますと、領事さんからの旅費を貰って桑港シスコから日本へ帰りましたが、その途中のことです。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
無賃で天国へまでもける筈の博愛社長にとつて、桑港シスコ行きの二等船賃は決して軽い負担ではなかつた。だが、小橋氏は久し振に俄分限にはかぶんげん同胞きやうだいを訪ねるやうな、晴々しい気持で船に乗込んだ。
赤いモスコー、四角い伯林ベルリン、酔うがミュンヘン、歌うが維納ウインナ、躍る巴里パリーや居眠る倫敦ロンドン、海を渡れば自由の亜米利加アメリカ。女の市場がアノ紐育ニューヨークじゃ。桑港シスコ賭博ばくちよ。市俄古シカゴの酒よと。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……ところがこのハドルスキーは、嘗て桑港シスコのホテルで同室した際に、このあけぼの新聞を私の鞄の底から引き出して、不思議そうに眺めまわしているのを、鍵穴から覗いて見た事がある。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
今日横浜から出る船は桑港シスコ行きで午前十一時の紅海丸しかない。神戸行きの方はリオン丸と筑前が欧洲航路だが、これは長崎に寄るのだから、まだ大分時間がある。下関なし。敦賀なし。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そのまんま特別三等とくさんの寝床の中で足をツン伸ばしてアーッと一つ大きな欠伸あくびをしたもんですが、そのトタンに桑港シスコで知り合いの領事館の人からお土産に貰った小さな紙包みのことを思い出しました。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
桑港シスコまで請け合うよ。霧は晴れたんかい」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)