“根比（こんくら）” の例文
「根比（こんくら）べ、ってところね、あたしは負けやしないから」そう云っておのぶは包んだ紅絹の切を解き、剃刀を右の手に持ち直した
さぶ (新字新仮名) ／ 山本周五郎(著)
警視庁では、Ｋ刑事の上役の捜査係長が取調（とりしらべ）を担当して、終日ゴリラ男と根比（こんくら）べをして見たが、結局何の得（う）る所もなかった。
恐怖王 (新字新仮名) ／ 江戸川乱歩(著)
こっちはあくまで冷静に、水のように澄み返ってやろう。そうして相手をあせらせてやろう。一ときでも二ときでも、ないしは一日でも待ってやろう。つまり二人の根比（こんくら）べだ。
名人地獄 (新字新仮名) ／ 国枝史郎(著)
根比（こんくら）べのやうに三田は默つて居るので、おりかは爲方が無く口を切つた。
大阪の宿 (旧字旧仮名) ／ 水上滝太郎(著)
どっちの気が倒れるか、自分こそは勝つ気で、両方で根比（こんくら）べをする気。
丹下左膳：02 こけ猿の巻 (新字新仮名) ／ 林不忘(著)