松籟しようらい)” の例文
山嶺さんれいゆきなほふかけれども、白妙しろたへくれなゐや、うつくしきかなたまはる松籟しようらいときとしてなみぎんずるのみ、いておどろかすかねもなし。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
林の奥に琴の音がするので松籟しようらいの中をすゝんで行くと、楼門の上で女が琴をひいてゐた。
続戦争と一人の女 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
二人は松原の砂をふみ、松籟しようらいの澱みの中を歩いてゐた。突然野々宮が歌ひだした。
卓一が子供のころ、砂丘から街へ降る斜面には、すでに深い松林が流れてゐて頭上を松籟しようらいが渡つてゐたが、防砂林をまもることは新潟をまもることだと、小学校で常々教えられたものだつた。