朱武しゅぶ)” の例文
朱武しゅぶは元、定遠州ていえんしゅうの生れ、戦う場合は、よく両刀を使うが、得意はむしろ兵法と謀略にあるとは、彼自身がいうところだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また一座のうちに、下宿の二階に住んで六畳の半ばをおおう白熊の毛皮を敷いて、ぞろりと着流して坐りながら、下谷の地を操縦する、神機軍師朱武しゅぶあって、とくより秘計をめぐらし、兵を伏せて置いたれば
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼らの仲間うちでも“虎は平伏した餌食えじきは食わぬ”ということわざを知っている。「——九紋龍の度量はそれなんだ」と、楊春ようしゅん陳達ちんたつも、朱武しゅぶも以来すっかり史進に心服してしまった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こんなところで行者めかしていたのも、いわば一時の身過ぎ世過ぎ、当座のあてもないから、少華山しょうかざんにいると聞く、朱武しゅぶのところでも訪ねていこうかと考えていたところだが」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)