木挽こび)” の例文
職とする仕事も、運輸だけではなく、魚貝の売買、塩の仲次ぎ、小酒屋、石切り、鍛冶、車造り、馬子、輿丁こしかき、瓦焼き、木挽こびき、船大工。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
多くの木挽こびき等が雪の深山に椴松とどまつ蝦夷松えぞまつの切り倒されたのを挽き、多くの人夫等がそれをそりで引き出すところに飛んで行く。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
木挽こびき職人の一隊は山と作業場に別れた。一方は大野順平にひきいられて原始林にはいり、必要な材木を伐採した。他方はそれを挽材ひきざいした。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
男の児は小さいくせにどうかすると大人の——それも木挽こびきとか石工とかの恰好そっくりに見えることのある児で、今もなにか鼻唄でも歌いながらやっているように見える。
城のある町にて (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
大工は鉢巻はちまきをはじめるし、木挽こびきはやすりの目をめてみるのであった。今までのところはとびと大工と木挽きであった。やがて左官や屋根屋が必要になるだろう。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)