曩日さきのひ)” の例文
それと共に唯継のおこなひ曩日さきのひとはやうやく変りて、出遊であそびふけらんとするかたむきしを、浅瀬あさせなみも無く近き頃よりにはか深陥ふかはまりしてうかるると知れたるを、宮はなほしもきて咎めず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
曩日さきのひ宿下やどさがりに、中村座顔見世狂言で、江戸初下りの雪之丞女形おやまの舞台を、はじめて見物し、その夜、長崎屋三郎兵衛の心づかいで、料亭の奥の小間で、はからずこの絶世の美男と
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
呉羽之介には何が何やら訳が解らなかった——曩日さきのひ、それもたった四日前あの明神の境内で、浄瑠璃姫じょうるりひめに扮したときの、あの巧みさ神々しさ、見る人をして酔わせずには置かぬような芸の力は
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)