暗黒くらがり)” の例文
救いにきたった人々に仔細わけを話して、七兵衛も共々に其処そこらを尋ね廻ったが、何分にも暗黒くらがりと云い、四辺あたりには森が多いので、更に何の手懸てがかりも無かった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
心配さうな顏をして、淺野がかう訊いた時、表の方の暗黒くらがりから
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
彼女かれすそを高くかかげて、足袋跣足たびはだしで歩いた。何を云うにも暗黒くらがり足下あしもとも判らぬ。つるぎなす岩に踏み懸けては滑りち、攀上よじのぼってはまろび落ちて、手をきずつけ、はぎを痛めた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)