明荷あけに)” の例文
千草木綿ちくさもめんの股引に甲掛草鞋穿こうがけわらじばきで旅馴れた姿、明荷あけにを脇に置き、一人は鼠の頭陀ずだくびに掛け、白い脚半きゃはんに甲掛草鞋。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
駕籠につづいて馬が来る、その馬には明荷あけにが二つ、いずれも井桁の紋がついている。そうすると、二階から下ろされたのは、ゆうべ問題になった朱漆の井桁の葛籠つづら
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
とき明荷あけにの中に在りし金四百五十兩并びに幸之進が胴卷どうまきの中にありし二十兩餘りの金と大小だいせう衣類迄いるゐまで奪取うばひとり行衞も知れず迯去にげさりける依て彼の供人は江尻宿へ引返ひきかへし宿役人へことわおき死骸しがいを改め飛脚ひきやく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
で、畳もしっくりと敷きつめてあって、四隅には古箪笥や、長持や、葛籠つづらや、明荷あけにの類がとりでのように積まれてあるけれども、それとても室を狭くするというほどではありません。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大きな明荷あけにを背負いこんで出て来ましたので、その意外に、お雪ちゃんがまた圧倒され、せっかく期待した手がかりに向って、当りをつけるのきっかけを失ってしまったのです。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
福兄は明荷あけにのところへ背をもたせて、ちょっとばかり頭を下げて
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)