旧主きゅうしゅ)” の例文
旧字:舊主
そこで興哥は事情を話して、二人で厄介になることになったが、金栄は旧主きゅうしゅに仕えるようにして二人の面倒を見た。
金鳳釵記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
宮内くないも、いまは浪人ろうにんの身であり、まったく弓矢をすてた心ではあるが、北庄城ほくしょうじょうにいたころの友が、かく負軍まけいくさで逃げこんできた姿をみたり、または旧主きゅうしゅほろびる消息しょうそくをつたえられては
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白の旧主きゅうしゅの隣家では、其家の猫の死の為に白が遠ざけられたことを気の毒に思い、其息子が甘藷売りに往った帰りに神田の青物問屋からテリアルしゅねずみほどな可愛い牝犬めいぬをもらって来てくれた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ついでに、あの信玄しんげん石碑せきひなども、ほりのそこへ投げこんでしまうがいい。あんなものを辻にたてておくから、いつまでも百姓ひゃくしょう町人ちょうにんめが、旧主きゅうしゅをわすれず新しい領主りょうしゅをうらみに思うのだ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)