既往きおう)” の例文
わが既往きおうの失敗とがめず、もいちど信じてだまって持たせて呉れたなら、私いのち投げてもプレート守ったにちがいない。
二十世紀旗手 (新字新仮名) / 太宰治(著)
成事せいじかず、遂事すいじいさめず、既往きおうとがめずというおしえもあるから、わしはいずれにしても異存はないと申上げて置いた。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
かくして養いおけば、よく人の既往きおうを説き未来を告ぐるに、不思議にも当たらぬことはない。常に巧みにその体を隠し、飼い主の目に触るるのみにて、少しも他人の目に見えぬと申すことじゃ。
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)
余は既往きおうの詮議立てはせぬつもりなり云々うんぬん
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)