旅人宿りょじんやど)” の例文
いや、この家も以前には浮かれ女を数多召抱えて、ゆうべに源氏のきみを迎え、あしたに平氏の殿を送られたものじゃが、今ではただの旅人宿りょじんやど
備前天一坊 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
今では警察が理髪店の消毒を厳重にしましたが理髪店の危険よりも汽車中と旅人宿りょじんやどの危険の方が優っている位だろうと思います。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
けれど所書きは皆違っていて、二つは浅草あさくさ旅人宿りょじんやど、一つのは浅草郵便局留置とめおきで返事をれとあって所書きがない。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
旅人宿りょじんやど」と怪し気な行灯あんどんのブラ下がった家があるので、吾輩は早速おどり込み
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
七年ぜんに佐久間町へ旅人宿りょじんやどひらきしおり、これ重二郎殿、きみ親御おやご助右衞門殿が尋ね来て、用心のため預けられた三千円の金を見るより、あゝ此の金があったなら我望わがのぞみの叶う事もあらんと
一行は九月十七日に京都を立って、同月二十五日には無事江府に下着げちゃくした。そして、石町こくちょう旅人宿りょじんやど小山屋に、江州ごうしゅうの豪家垣見左内公儀に訴訟の筋あって出府したと称して逗留とうりゅうすることになった。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)